実は入れ歯は日本が最先端だった?

日本ではすでに江戸時代には入れ歯があったと言われています。
ヨーロッパでもまだなかった入れ歯が、17世紀の初期にすでに日本にあったというのは驚きですが、いったいどのような物だったのでしょう。

まず土台となる部分ですが、硬いツゲの木が使われていたそうです。
木ロウで型を取り、それに合わせてツゲの木を削って作っていきました。
ツゲの木を使った理由は硬くて緻密にできており、また抗菌作用もあるため不潔になりにくいというメリットがあったからです。
入れ歯の台として最適な材料として重宝されたわけです。

では、このツゲの木から誰がこの木入れ歯とでもいうべき江戸時代の入れ歯の土台を作ったのでしょうか。
現代のような歯科技工士がいたわけではありません。
実は仏像などを彫刻する仏師が、一つひとつ丁寧に削りながら作っていったようです。
江戸時代の最先端の木入れ歯が歯とは何の関係もない仏師が作っていたというのは非常に面白い話ではないでしょうか。
手先が器用な日本人ならではの業といっても良いでしょう。

ではこのツゲの木で作った土台の上の歯はどうしたのでしょうか。
現在のように白いプラスチックがあるわけではありません。
実は歯は義歯ではなく、本物の歯が使われていました。
特によく見える前歯には自分の歯を使うこともあれば、他人の歯を使うこともあったようですが、いずれにしろ本物の歯を絹糸などで台にくくり付けたようです。
奥歯に関しては見えないので、金属の釘を何本も打ち付け、噛むことができるようにしてありました。

入れ歯に関しての技術は、ヨーロッパと比べて日本は200年近くも先をいく最先端技術をもっていたというのは驚くべきことですが、あまり知られてはいないようです。
ただ一般庶民が入れ歯を使っていたのではなく、主に殿さまなど身分の高い人のため作られていたようです。
一般庶民は歯が虫歯でダメになったら抜くだけだったのでしょう。

現在でも当時の入れ歯が見つかるそうですが、それをよく観察すると噛んで擦りへっていたり、歯石がこびりついていたりして、よく使いこまれていた様子を知ることができます。
付け心地がどうだったのかは知る由もありませんが、いつの時代も歯がなければ物を食べるのに困ります。
だから、このような入れ歯は絶対的に必要だったわけです。
現代では、入れ歯に代わる新しい技術も開発されていますが、それでもまだまだ入れ歯のニーズが無くなったわけではありません。